2011年3月23日 私はパリにいた。独身は身軽でいい、特に文句を言われることもなく好きなところへ行ける。エコノミークラスで、あちこち気ままに1人旅をしてきた。今回いつもとは一味違う旅が、私を待っている
初めてのファーストクラス搭乗だ。パリからアメリカ経由で日本へ帰る便を手配。豪華な機内食も楽しみだが、空港のファーストクラスラウンジも訪れてみなくては。きっと色々な美味しいものがあるに違いない
シャルルドゴール空港には、3時間前に着くようにして…と。ワクワクが止まらないぞぉぉ
あら?
翌朝ホテルで目覚めたのは、飛行機出発の3時間前だった。ガビーン
ミッション:至急、空港へ迎え!!
スーツケースに荷物を詰めて、大急ぎでホテルをチェックアウト。ダッシュで空港行のバス乗り場へ向かう。見ている分にはオシャレだけれど、パリの道の石畳!スーツケースが転がしにくいったら、ありゃしない
シャルルドゴール空港へ到着したのは、出発の1時間半ほど前だった。どひゃーギリギリじゃん
出発ロビーを突き進み、『FIRST CLASS』と書かれたチェックインカウンターを発見した。よし、早速搭乗手続きをしてもらおう。突撃ー!
「マドモアゼル。レギュラークラスは向こうよ」
チェックインカウンターの手前に居た、警備のオネーサンに声をかけられた。ぬぬっ、これが庶民 VS ファーストクラスの洗礼か
女1人旅だし海外でブランド物を持っていると、余計に狙われ易くなる気がする。バッグパックと、量販店で購入したスーツケースが私の標準装備。服はブラウスにスラックスと、綺麗にしたつもりだったが…
普段セレブリティを見慣れているであろう警備員さんは、貧民がファーストクラスに迷い込んだと思われたか。アジア人は若く見えるというから、余計に怪しく映ったのかもしれない。チーン
ファーストクラスでOK。私、予約してるんデスー
オネーサンにビビりつつも、私は笑顔で切り返す。ここを突破しなければ飛行機には乗れないのだ
私が話せるのは簡単な英語だけ。あらかじめ印刷しておいたフライト予定の用紙を、オネーサンに差し出す。座席の種類も乗っているから、エコノミークラスの乗客ではないと分かるだろう
すると、オネーサンの表情が険しくなる
「このチケットは本当にあなたのか?」
そっそうデスー
「誰かにもらったのでは?」
いえ、私がインターネットで予約しましター
「……」
ドキドキ....
「この荷物はあなたのか?」
はい
「誰かに頼まれて預かったものでは?」
いいえ、全部私の荷物デスー
オネーサンの質問に対して、のほほんと答えていた私。このあたりで重大な事に気が付いた....。自分が怪しい客と、相当警戒されていることに!!
あぁぁ、いつかテレビで観た映像が頭をよぎる。魔法の白い粉を持ち込もうとして、空港で検挙されちゃうやつ。ギャー
ド庶民がファーストクラスなど予約してしまい、すみませんでした…シクシク
何とか乗せていただかなければ、私は日本には帰れない。オネーサンに身の潔白を証明するしかない。怪しい客ではないんですぅぅ~
あのですね、マイルが貯まってて。クレジットカードを使ってコツコツ貯めた、御社のマイルですよ?そう、ユナイテッド マイレージプラス。8万マイル*1でファーストクラス航空券を発行したの
…という思いでオネーサンを見つめる
その後もオネーサンの質問は続く。荷物は今朝私が詰めたもので間違いない。全て私の物で、お土産や着替えが入っていると説明
パスポートを見せるように要求され、オネーサンは顔写真、搭乗者名を確認
泊まっていたホテルを誰が予約したのかも聞かれ、私は印刷しておいた領収書の控えを提示
ホテルは私が予約したので間違いデス.... ふえ~ん、お家にかえりたいよー
「OK」
うなづくオネーサン。おお、わたしの想いが通じたっ
「スーパーバイザーを呼んでくる。少し待ってて」
んん、えらいひと?チェックインカウンターの奥に消えるオネーサン
なんだろう、搭乗手続きの時間が遅くなったから優先レーンでも案内してくれるのだろうか…?
ファーストクラスはシャンパンのサービスがある。ってネットで見たけど、ホントかな~ワクワク
しばしオネーサンの帰りを待つ私。そしてチェックインカウンターの奥から現れたのは....
めちゃくちゃ強そうな黒人のオジサマ!
その方が私に言うんですよね…!
「このチケットは本当にあなたのか?」
ギャアー!デジャブ?先ほども同じことを聞かれたのですが....
スーパーバイザーって警備担当の方だったのか。偉い人まで出てきちゃて、どうしよう。飛行機乗れないかもぉぉ~
航空券、荷物、ホテルなど同じ内容を質問され、私はそれに答えた
プルプル、私は悪い観光客じゃないヨ~というオーラを発して様子をうかがう…
「OK」
スーパーバイザーはチェックインカウンターを指し、どうぞとジェスチャーする。ついに私の祈りが通じたようだ、やったー
サンキューオジサマ!ババーイ^^
やっとこさチェックインカウンターへたどり着き、搭乗手続きをお願いした
カタカタとPCを操作する女性スタッフ…発券されたチケットを見つめている
?何か問題でもあるのだろうか。女性スタッフは心配そうな表情で、私にチケットを差し出した
「It's a long trip.」
長旅ですネ~??
って本当だ!パリ→ワシントンDC→ボストン→シカゴで3枚あるわ~チケットが。予約した時こんなんだったかなぁ
しかもアメリカ→日本行のチケットないし。日付が違うと一緒に発券されないんだろうか。ま、後でシカゴの空港で確認してみよう
機内へ乗り込む最後尾に滑り込み、待ちに待ったファーストクラスのシートに座る
ついに憧れのファーストクラス搭乗だぁぁ!
「シャンパン?水?」
もちろん!シャンパンをお願いしまスー
飛行機は一路、ワシントン ダレス国際空港へ向かう……つづく?
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*1:2017年1月時点では11万5000マイル必要